キキョウ Platycodon grandiflorum (Jacp.) A.DC. (キキョウ科 キキョウ属



 玉野市の深山公園にて、秋の七草(※)であるキキョウを見つけました(2000.8.3)。高さ120cmはあったでしょうか。
 キキョウは山野の草地に生える多年生草本で、北海道〜九州・奄美(請島)、朝鮮・中国・ウスリーに分布します。観賞用としても栽培もされ、園芸品種もあります。7〜8月に青紫色の花をつけます。淡紫色や白色のものもあるそうです。キキョウの葉は互生ではあるのですが、対生や輪生することもあるため、花のついていないものは同定し辛かった記憶があります。


(岡山県玉野市深山公園 2000/8/3)

 キキョウの花では、雌しべより先に雄しべが成熟します。花が開いたばかりのころは柱頭は未成熟で、その周りを雄しべが取り囲んでいます(上の写真)。開花の後、雄しべは葯を開き花粉を出します。花粉は花柱の周りに生えた毛につきます。葯がからになると雄しべは倒れ、花柱から離れます(下の写真)。この頃もめしべの柱頭は成熟していないため、自家受粉は行われません。葯がからになり、雄しべが花柱から離れた後、柱頭が開きます。既に雄しべは花粉がないので、受粉は別の花の花粉により行われます。他花受粉で雄しべ先熟のよい例です。


(岡山県総社市ヒイゴ池 2000/9/7)


キキョウには太い根茎があります。
この根茎を水洗して細根を取り去り、乾燥した物が漢方の桔梗根で、薬用にされます。
咳や痰をとり、気管支炎などに効くそうです。

※秋の七草:ハギ・ススキ・クズ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・アサガオ(キキョウ)

(写真&文章:中村康則)

1.キキョウ 2. 3. 4.中村バージョン

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