アカマツ Pinus densiflora  (マツ科 マツ属)



【アカマツの古里】
 アカマツは痩せ地に強い種であり、劣悪な環境にも生育できる。乾燥した尾根や岩場などに生育することは良く知られているが、その反対の環境である湿地にも生育できる。中・上流域に形成された礫原に生育して河畔林を形成することもある。このような幅広い能力を持ったアカマツの古里はどのような場所であろうか。

 瀬戸内海沿岸の花崗岩地域では、尾根筋や斜面上部ではアカマツが生育することが普通である。特に過度の森林利用によって禿げ山になった場所ではマツ類しか生育していないように思える場所もある。このような場所に生育するマツ類の成長は非常に劣悪であり、50年以上の樹齢を持つ個体でも樹高1mに満たない場合もある。おそらく貧弱な葉や幹に比べ、根は良く発達しているに違いない。
 禿げ山は人類の過度な森林利用の結果発生したものであり、人類の活動が活発になる以前は広く存在していたとは思えない。一方斜面の崩壊による裸地は、場所によってあるいは時代によって我々が日頃体験しているよりも遙かに高い頻度で発生する(発生していた)のではないかと思う。砂防工事などを行っていない地域では、1つの斜面が数百年に一度の割合で崩壊するとしている報告もあり、隆起している地域ではかなり高い頻度で斜面の崩落による裸地が発生する可能性がある。寒冷化に伴って海水面が下がると河川が若返り、浸食が盛んになる場合も同様であろう。河川に多数の堰堤を構築し、浸食を防止した結果、斜面の崩壊頻度が極端に少なくなっているのが現在ではないのかと考えている。
 急傾斜地や岩場がアカマツの古里の1つに違いないが、裸地の発生という遷移の初期化が一定の割合で常に発生し、そのような場所が古里であると考える方が現実にあったものであろう。
花崗岩地の尾根筋に発達するアカマツ林玉野市の禿げ山保存地玉野市の禿げ山保存地の矮小アカマツ岩場に生育するアカマツ

急傾斜地に残ったアカマツ林露岩地のアカマツ林
 尾根などの岩場・露岩地はアカマツ林が形成されやすいが、斜面であっても地形の変換点では露岩地が形成されやすく、アカマツ林が形成される。地形の変換点が地質的な侵食に対する抵抗性の違いによって形成されているのであれば、明瞭な露岩地が形成されることになる。上の画像は堆積岩の岩質の違いによって形成された露岩地に発達しているアカマツ林である。マツ枯れによってもこの露岩地のマツ林は再生し、存続している。

1.アカマツ 2.マツ枯れ 3.マツノマダラカミキリ 4.有用材アカマツ 5.アカマツの芽生え 6.アカマツの古里 7.タギョウショウ 8.アカマツの花

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