ヘゴ Cyathea spinulosa (ヘゴ科 ヘゴ属)
ヘゴは枯れた葉を落とさないヘゴ Cyathea spinulosa

 ヘゴは伊豆半島南部から紀伊半島南部・四国・九州の南部から琉球、台湾・中国南部・インドシナ半島からヒマラヤにかけて分布する常緑の大型シダ。樹高4m以上にもなり、樹形はヤシの仲間そっくりである。谷筋や斜面下部などの湿潤で風当たりの弱い場所に生育する。こんな大型のシダ植物も胞子が発芽して前葉体を形成し、小さな胞子体から出発するのであろうか? そうであれば、出発点は土砂崩れの跡地などの裸地であるはず。ヘゴが群落を作って生育しているのは、そのためかも知れない。

 ヘゴは年々高くなって樹木のように生長するが、形成層を持たないシダ植物であるので、樹高が高くなると栄養分や水の吸収の仕組みに問題が発生するのではないか? どのようになっているのか、疑問に思っていた。茎の構造は、細い茎の周辺を不定根が密に覆ったものになっているとのこと。根が古くなると、数mもの上から新しい根を伸ばす必要があることになる。高くなれば十分な日照を得ることができるが、水や栄養分の吸収に関する根に相当の投資を行わなくてはならず、限界があることになる。この周辺の絡み合った根の部分がヘゴ板(柱)として園芸資材として販売されている。

ヘゴの葉(屋久島)大きな小葉
葉の表葉の裏面
胞子嚢を付けた葉の裏面不定根によって覆われた幹

 ヘゴの茎は網の目のように不定根が覆って形成されており、着生植物の天国である。この性質を利用して園芸的にポトスなどの直物の栽培に用いられている。自然の生育地は谷的な湿潤な場所で、あまり出会うことが無い。少ないのは園芸用に採取されるからかもしれない。

 英語名は flying spider-monkey tree fern 、逆にこの英語で検索するとヒカゲヘゴが引っかかってくる。Flying spider は画像検索するとクサグモのようなクモが引っかかる。ヘゴの仲間を下から見上げると、そのようなイメージなのであろうか。学名の種小名は棘があるという意味で、葉柄に棘があるのが特徴のひとつ。

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