滋賀県 (2000/11/07) |
- 黒字:滋賀県における環境影響評価の手引き(平成5年度版)滋賀県編
- 青字:滋賀産業集積活性化事業用地(仮称)整備事業に係わる環境影響評価準備書、同資料編(平成11年5月) 地域振興整備公団の実績およびコメント
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1.植生に関する調査項目 |
- 植物相調査は調査地域(事業予定地および周辺地域)が裸地・市街地・造成地など、無植生地だけで構成されている場合を除いて必須である。
- 植生調査は、植生自然度が7以上の群落が調査地域の一部に存在する場合に、その群落に対して必要。自然度が7以上の地域が、50%以上の場合は、全域において植生調査が必要。
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2.調査地点数 |
主要な群落単位ごとに5〜10スタンド、100haで100程度。
上記実例では、調査地域(約120ha)の大半が農地およびその放棄地で、群落調査は自然度7以上の地域だけでよい場合であるが、群落調査地点数は50、植生図の凡例は組成表にもとづく群集・群落が20、その他土地利用などが4の合計24. |
3.植生に関する整理・記述方法 | 植生と植物相の概観、植物目録、保護上重要な種のリストと解説、組成表、群落単位の解説、現存植生図(1/2500〜1/5000) |
4.植生の評価のあり方 | 本実例では、植生図(1/5000)の群落凡例ごとに植生自然度を判定。過去には様々な実例あり。 |
5.植生図の作成方法 |
- 調査地域の全てが植生自然度6以下の場合:相観植生図(植生調査は必要なし)
- 調査地域の一部に植生自然度7以上の地域がある:相観植生図を作成し、自然度7以上の地域は社会学的植生図を作成
- 調査地域の50%以上に植生自然度7以上の地域がある:全域に対して植物社会学的植生図を作成
- 手順:組成表にもとづく群集(群落)凡例の決定→航空写真による読みとり→現地確認→修正→完成
- 上記実例では、相観植生図で良かったのであるが、社会学的植生図を作成した。
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6.植生調査結果からの保全・跡地回復の提言 |
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7.アセス法に基づく生態系アセスに関して | 現在、新しい手引きを編集中との事。現在の運用状況は不明。 |
8.その他、植生等に関する特記事項 | 表土保全、根株移植などの実績がある。 |
和歌山県(2001/01/06) | 現在、「和歌山県環境影響評価技術指針・技術マニュアル」(平成12年7月1日より適用)に基づき調査計画について調整中。 |
1.植生に関する調査項目 |
- 植生調査: 空中写真判読により概略植生区分を行った後、現地確認を行い、相観により区分できる植物群落を抽出し、抽出した群落について原則として5地点以上方形区を設置し、植生調査を実施する。
- 土壌調査: 抽出した群落毎に深さ1m以上の土壌調査を行い、成立環境として土壌の状況を明らかにする。なお、草本群落など成立面積が小さい場合、土壌調査の実施が調査地に影響を与えることが予想される場合は現地調査を行わない。
- 潜在自然植生の推定:環境保全措置を検討する際の参考資料として整理する(「技術マニュアル」に記載されている)。
- 「緑被率」及び「緑の体積」の整理
- 「緑被率」・・・・航空写真や現存植生図等の資料により調査地域における植物の被覆の程度を求める
- 「緑の体積」・・緑被率の調査において得られた緑被面積に現地踏査により求めた群落毎の最上層を形成 する植物の平均高を乗じて求める。
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2.調査地点数 |
- 原則として1群落5つ以上の調査地点を設定する。
- 湿地等の特殊な環境については重要な種等が生育している可能性が高いことから、特に留意する。
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3.植生に関する整理・記述方法 |
- 文献・資料を参考にして組成表を作成、植物群落名を決定し、現存植生図を作成する。
- 植物群落の概要を整理するとともに、群落の相観・特徴が把握できるような群落断面模式図、現地写真を添付する。
区分 | 群落名 | 生育立地 | 主要構成種 | 概要(群落高・階層等) |
自然植生 | ブナ群落 | 山地斜面 | ブナ、ミズナラ | 高木層20m、亜高木層15m、・・・・ |
代償植生 | シイ−カシ萌芽林 |
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コナラ群落 |
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4.植生の評価のあり方 |
重要な植物群落について、「植物群落レッドデータブック」(我が国における保護上重要な植物種及び植物群落研究委員会植物群落分科会)などの文献及び学識経験者などの専門家の助言を参考に選定する。
このほか、影響の回避・低減に係わる評価にあたって、重要な種のみに着目せず、植物群集の多様性、安定性などの観点を考慮する。 |
5.植生図の作成方法 | 植生調査結果を基に文献・資料を参考にして組成表を作成し、植物群落名を決定、現存植生図を作成する。スケール1/2,000〜1/10,000。 |
6.植生調査結果からの保全・跡地回復の提言 | 環境保全措置を検討する際の基礎資料として、『潜在自然植生の推定結果』を利用する。 |
7.アセス法に基づく生態系アセスに関して |
- 典型性の1つとして現存植生を取り上げる: 環境区分ごとに類型化したハビタットマップを作成する際の基礎情報と現存植生図を利用する。また、立地環境を含めて環境区分ごとに生物群集模式図を整理する際に植生断面模式図を利用する。
- 特殊性の1つとして現存植生を取り上げる
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8.その他、植生に関する特記事項 |
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島根県(事例 No.1) (2000/11/06) | 旧基準によるアセス(現在、県では実施要綱を検討中)。 |
1.植生に関する調査項目 | 特に植生調査は義務付けられていないが、調査方法例として、コドラート法が記載されている程度。 |
2.調査地点数 | 特にきまりは無い。代表的な植生に関して、数地点程度でよいのか。 |
3.植生に関する整理・記述方法 | 群落区分は優占種などにより行い、地域の植生の概要、各群落の解説(植物社会学的な同定も行う)を記載。 |
4.植生の評価のあり方 |
特に基準は無いが、植生自然度図を作成し、評価。特異な植生に関しては、特記する。
植生からの評価よりも、生育種からの評価の方がウエイトが高いのが現状。
群落版レッドデータは使用していない。 |
5.植生図の作成方法 |
現地調査と空中写真による判読から、優占種による相観植生図を作成。
植物社会学的な群集同定が可能な群落については、凡例に群集名を用いる。
表操作による植生単位と植生図の凡例はリンクさせた。 |
6.植生調査結果からの保全・跡地回復の提言 | 法面植栽など、緑化樹種への反映、残置森林の管理手法、方針などへ反映させた。 |
7.アセス法に基づく生態系アセスに関して |
現時点においては、該当するアセス物件なし
基礎情報として、植生調査結果(植生図)が利用される。
植物群落から、生産性、バイオマスなどを求める試みはなされていない。
典型性、あるいは特殊性の候補として、植生が取り上げられる模様。 |
8.その他、植生等に関する特記事項 | 特になし |
岡山県 (2000/11/06) |
黒字:岡山県環境影響評価の実施に関する資料集(平成12.3)より引用
青字:コメント |
1.植生に関する調査項目 |
- 植生調査は方形区法により、各調査地点において出現する全ての維管束植物について被度と群度を調査する。
- 土壌調査は有害物質の含有などの観点からの調査であり、植生に関してはは概況のみ。
- 毎木調査は、重機移植などを伴う場合に調査されたことがある。
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2.調査地点数 |
森林:調査地点数≧25地点+(開発面積中の森林面積-25ha)/2.5 (原則として最低25、25ha以上の森林面積では、1地点/ha)
必要に応じて林齢を調査
草地・湿原・湖沼・河川:立地に応じて地点数を定める。 |
3.植生に関する整理・記述方法 |
- 植生群ごとに群落表を作成し、表操作することにより区分種を抽出し、群落区分を行う。
- 表操作の結果得られた植生単位に関して、群落の構造、発生過程、遷移の状況、立地特性を解析し、群落の価値を明らかにする。
- 植物社会学的当てはめ、記述は特に求められてはいないが、記されている場合が多い。
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4.植生の評価のあり方 |
- 気候的極相、土地的極相あるいはそれに近い植生、自然度の高い植生、南限・北限の植生、環境庁特定植物群落の選定基準などを保護する。
- 技術指針では植生自然度による評価を求めていないが、自然度によって評価がなされている場合が多い。
- 群落版レッドデータによる評価は特に求められていない。
- 湿原が存在する場合以外は、植生よりも植物種が重要になる場合が多い。
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5.植生図の作成方法 | 植生の分布状況とともに林相や注目される群落の情報が得られるよう相観植生図を作成する。 |
6.植生調査結果からの保全・跡地回復の提言 | 技術指針では、特に植生調査結果を保全・跡地回復に反映するよう求めていないが、そのような観点からの提言内容を含む調書が増えつつある。(例:切土法面の植栽樹種) |
7.アセス法に基づく生態系アセスに関して |
- 地形図、地質図、土壌図、土地利用図、土地分級図、植生図、流域区分図などを選択的にマッピングオーバーレイ等することにより類型区分図を作成する。
- 主な餌種等、餌の分布・密度・季節性を把握するための植生調査
- 注目種、群集と生息・生育環境を把握するための植生調査(植生構造・現存量・種子生産量・人為的影響等)
- 進行中の法アセスでは、典型としてオギ群落が取り上げられている(事になるであろう)。
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8.その他、植生等に関する特記事項 |
本県においては従前から、ゴルフ場等大規模な面的開発を行う場合に対象事業実施区域内に良好な自然環境を有する区域があるときは、当該区域およびその周辺を自然環境保全地区として可能な限り広範囲に一団の区域を保全するよう求めてきているところである。
自然環境保全区域は、当該地域において保たれている良好な自然環境を保全するに十分な面積を確保し、尾根、谷等を含むまとまった地域として設定すること。 |