2004年6月9日実施
旭川 高水敷の植生
○植生データはここをクリック(エクセルデータ)
○データの説明
1.素表の作成
各班の調査データを一覧表にまとめる。縦に調査地を、横に種を配列する。これを素表という。ただ単に一覧表を作成しただけでは、環境と植生の関係や共存植物、あるいは排他的関係にある植物群を見つけだすことは困難であるので、次のような表操作を行う。
2.表操作
スタンド(縦)や種(横)を入れ替えて、表の中から何らかの法則を見いだす作業である。通常、土壌硬度な日照条件などの「環境データ」に留意することなく、種の行動様式に着目し、類似した出現傾向のある種を集め、類似した種が出現したスタンドを集める操作を行う。
このような表操作は、エクセルなどの表ソフトでは、カット&ペーストを繰り返す必要があり、相当な労力を伴うし、熟練が必要である。このために、いくつかの専用ソフトが開発されている(例えば、波田・豊原、1990)。また、人手でカット&ペーストで整理する方法では、人によって着眼点が異なることから、異なった結果となることもある。このため、客観的な計算に基づき、スタンドあるいは種を自動的に配列することが望まれることになる。
このようなことから、今回は「植物表操作プログラムVeget 波田・豊原、1990」を用いて調査スタンドと種を序列化(オーディネーション)したものを提示することとした。
(すなわち、この段階まですでにデータ処理している)
3.データの解説
Quadrat size (m2) : 調査面積
Height (cm) :植生高(cm)
Cover (%) :植被率(%)
Soil compactness (mm) :土壌硬度(mm)
Stand index :スタンド位置指数
Number of species :出現種数
種名の末尾のHは階層を意味し、草本層に位置していることを示している。高木であればT、低木であればSなどとなる。
階層の次の数字は「種位置指数」
4.スタンド位置指数と種位置指数の意味
スタンド位置指数の計算方法は、植生調査法に掲載しているので、参照されたい。統計処理をするわけであるので、出現回数の少ない種は解析対象から除外する。今回は、調査データ数の10%以上出現した種、すなわち3回以上出現した25種を解析の対象としている。
スタンド位置指数の意味を簡単にいえば、最も構成種の異なる調査スタンドを0と100の両極とし、その間に出現種とその被度を反映させてそれぞれの調査スタンドを配列したものである。今回のデータでいえば、No.1の「1班の1番目」のデータとNo.30の「6班の4番目」のデータが最も種の構成や被度が異なっており、両極となっている。出現種や被度が類似した調査スタンドは近接した位置に配列されている。
スタンド位置指数の計算には、種の出現状況が反映されているので、種に関してもスタンドと同様な指数が算出される。計算の結果、ヌカススキとヒメコバンソウは最も異なる出現状況を示した(両極)。類似した出現様式を示す種には、類した種位置指数を示す。例えば、ヌカススキ、ヘラオオバコ、クサイ、ギョウギシバなどは小さな種位置指数を示しており、ほぼ同じような出現傾向を示している。一方、大きな種位置指数を示すスイバ、ハルガヤ、イグサ、ヤハズエンドウ、カラスムギ、オオスズメノカタビラ、チガヤ、ヒメコバンソウなどはほぼ類似した出現傾向を示し、共存関係であることを示しているとともに、前述のヌカススキなどとは排他的関係にあることがわかる。
5.環境と植生の関係解析
植生のオーディネーションによって、植生の違いを指数化することができている。このスタンド位置指数と植生高、植被率、土壌硬度などの環境を示す項目との関係解析を行いなさい。また、それぞれの植物について、一年草であるか多年草であるか、在来種であるか帰化植物であるか、などについて調べ、植生とどのような関係があるかなどについても調べ、考察しなさい。
ポイント:土壌硬度は踏圧を意味する指数としてとらえているのであり、人あるいは車が踏みつけることによって、植物はどのように対応し、どのような構成種を持つ植生が発達するのか、考察しなさい。
締め切りはデータアップから1週間後・・・6月30日としましょう。
調査地の様子は、また後日のアップといたします。