生物学実験U 旭川高水敷の植生
調査日:2007年6月6日 レポート提出の締め切り日:8月4日(土)
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調査データの解説とまとめ方
植生調査データの解析手法に関しては、生物学実験U の3.植生調査 に掲載してあります。この解析手法にはかなりの労力と経験が必要であることから、ここに掲載されている「反復平均法」によって、すでにスタンド位置指数と種位置指数を算出してあり、さらにその結果にしたがってスタンドと種を配列しなおしてあります。ここまでの手法について、簡単に解説しておきます。
1.オーディネーション
a.環境要因に注目して調査地を配列してみる
対象をある項目に着目して、たとえば数値の小さいものから大きなものへと序列化することをオーディネーションといいます。たとえば、土壌硬度に着目し、硬い土壌の場所からやわらかい土壌の調査地へとスタンドを配列するのもオーディネーションです。今回の調査項目に関しては、土壌硬度のほかに、草本層の高さ、植被率が使える可能性があります。調査地の配列をある環境要因に着目して配列すると、その環境要因に強く影響され、反応している植物が浮かび上がるはずです。具体的には、硬い土の場所には○○がよく生育し、やわらかい土壌の場所には□□が生育するなどの結果を得ることができるはずです。
b.反復平均法によるオーディネーション
環境要因による序列ではなく、調査地(スタンド)に出現する植物の類似性(植生構成種の類似性)、あるいは同所的に生育する種(同じスタンドによく出てくる種)を見つけ出し、これに着目してオーディネーションしてみたい。よく似た植生のスタンドを集め、よく似た行動パターンの植物を集めるという作業は、スタンドが少ないと簡単であり、かつ誰がやってもほぼ同じ配列になるが、スタンド数が多くなると大変であるし、人によって配列の結果が異なってしまい、客観性が低くなる。そこで何らかの法則によって(客観的に)配列してしまうことが望まれる。
オーディネーションの手法には多くの方法(理論)がある。統計的に表現すれば、多変量解析の結果を利用して序列するわけである。ここでは「反復平均法」によって「スタンド位置指数」と「種位置指数」を算出し、それによってスタンドおよび種を配列したものを提供している。算出方法に関しては、植生調査を参照すること。なお、出現回数の少ない種に関しては正しい評価ができないので、除外して算出している。
2.考察に向けて
a.スタンド位置指数と環境データの関連
スタンド位置指数の数値は植生の類似性あるいは違いを表している。これと環境要因との関係を解析してみよう。今回調査した環境項目は、「土壌硬度」、「草本層の高さ」、「植被率」の3項目である。これらの相互関係、また、スタンド位置指数との相関関係を解析してみよう。具体的には、エクセルのグラフ解析機能を利用し、2つの項目を選んで散布図を作成し、その項目間に意味のある関係があるかどうか(相関関係があるかどうか)を調べてみよう。有意な関係が存在するならば、その意味を考え、考察として述べることになる。
b.種の解析
種位置指数が近接している数値を示す種群は類似した生態的特性を示すことになる。たとえば、今回のデータではギョウギシバ(0)、ナギナタガヤ(11.8)、ヌカススキ(26.8)、シバ(31.0)などは比較的数値が類似しており、その次のヘラオオバコ(50)との間にはギャップがある。ギョウギシバなどの4種はどのような特性があるか、考えてみよう。同様に、アメリカフウロ以下の種群についても共通的な生態的特性があるはずである。これらについてまとめ、考察する。