● はじめに
 
 1998年6月にひょうたん池が完成(11月にイトクズモの生育を確認)し、翌年2月に福成川側水路と三日月池が相次いで完成(4月に生育を確認)して、岡南飛行場のイトクズモ保全区域も今年で完成後3年目となります。保全計画の検討中には、懇談会委員の先生方に、「3年もったら合格かな。」などと言われておりましたが、どうにかその3年目を迎えることができました。ここでは、保全区域完成後から丸2年経過した2000年4月から2001年3月までの生育状況と、現在までの観察結果や管理作業の状況などから、今後の管理のあり方についての検討も行いましたのであわせてご報告いたします。
 なお、本年度の管理作業は以下の管理マニュアルに従って実施しました。
 

表 管理マニュアル

管理項目 管理作業の内容
水位の調節 ・年間を通じて10〜20pの水深を維持する。
・降雨などにより一時的に水位の極端に上昇した場合は、排水堰を調節して、40p以下の水位を確保する。
・極端に水位が減少した場合は、専門家の意見を踏まえた上で、水道水や福成川の表流水を導水するなどの対策を講じ、適切な水深を確保する。
塩分濃度の調節 ・塩分濃度が3.0%(海水)以上となり、生育への影響が確認された場合は、水道水及び福成川の表流水を導水して希釈する。
・栄養成長期間に塩分濃度の低下した状態(0.1%以下)が継続し、生育への影響が確認された場合は、専門家の意見を踏まえた上で対策を講じる。
水の交換 ・栄養成長期間に、水がよどみ特定のプランクトンなどが発生した場合は、専門家の意見を踏まえた上で対策を講じる。
雑草の除去

・毎月1回を基本に適宜保全区域の巡視を行い、侵入が確認された雑草を除する。
・特に側水路においては、ヒシの除去を目的に重機による除草を年2回(6月上旬,7月中旬〜8月上旬)、3年間継続して行い、その後は経過を観察し、適宜実施する
・薬剤は使用しない。
・特定の雑草が優占し、イトクズモの生育に長期間影響を与える状況が確認された場合は、専門家の意見を踏まえた上で対策を講じる。

有害動物の防除 ・生育に影響を与える動物が確認された場合は、除去及び侵入防止対策を実施する。
・薬剤は使用しない。
イトクズモの補植 ・いずれかの保全区域でイトクズモの消滅が確認された場合は、原因を調査して対策を講じた後、別の保全区域からの移植あるいは種子の導入を行う。
・これについては、専門家の意見を踏まえた上で実施する。
汽水域生物相の導入 ・保全区域の水域において汽水性生物の自然な侵入が確認された場合は、イトクズモの生育に影響しない範囲内でその生育を容認するが、移植などの積極的な導入は行わない。
・池岸においては、自生種であり栽培により増殖した植物に限り導入を認めるが、植栽にあたっては、専門家の意見を踏まえた上で実施する。
追跡調査 ・水位,水質電気伝導率、水温、塩分濃度、pHの測定、生育状況の観察を行う。
その他の管理 ・緑地帯の芝生や植栽の管理にあわせ、ゴミの除去,池岸の除草を行う。
・特に台風などの強風の後には、保全区域の巡視を行い、ゴミ等を除去する。

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