○ 管理作業の実施体制について
 
 本報告では、管理作業項目の中で最も労力の要する除草作業について、作業時期を4〜8月(5ヶ月間)の毎月1回に限定し、側水路においては雑草占有防止柵を設置して放任的な管理とすることなど、管理作業の省力化と作業範囲の集約化を提案しております。これにより、部分的には雑草の繁茂により景観の煩雑となる場所も出現するものの、保全区域全体を見た場合、長期的なイトクズモの生育が維持できるものと考えます。また、平成施することとなりますが、本業務で提案し13年度以降は保全区域が岡南飛行場管理事務所に帰属し、管理作業については同管理事務所が実た管理作業の省力化を実施した場合、同事務所が行う緑地管理程度の労力で、保全区域の管理が実現できるものと考えます。
 一方、本年度みられたような極端な少雨による水位の低下など、不測のトラブルが発生する可能性も十分に考えられます。この様な突発的なアクシデントに備える上で、特にイトクズモの生育に重要な期間である4〜6月の3ヶ月間については、イトクズモを含む植物一般の知識を有する専門家(研究機関もしくは企業)などに保全区域の観察を委託することが望ましいと考えます。また、実際の管理作業の実施にあたっては、管理作業着手時に管理作業上の留意すべき点について、本種の観察を委託する専門家から、作業員へ専門的見地に立った指導を行うことが、それぞれの作業目的を明確にし、的を絞った管理を行う上で重要と考えます。
 また、全国的に市民レベルでの自然保護意識が高まりつつある現在、自然環境の保全を目的に実施した本保全対策事業についても、地域住民に正しい理解を広めることが必要と考えます。地域住民に本事業の目的や行為が正しく理解された場合、付近の小中学校や各種自然愛護団体などのボランティア活動による管理作業への協力が得られることも期待出来、更に保全区域が環境教育や啓蒙的な活動の場として、より良く、より広く利用されることとなると考えます。

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