黒岩の山桜 (岡山県指定 天然記念物)
 昔、尼子氏の家臣で佐子衛門という勇者が本樹の下で剣術の稽古をしていた時、打ち込んだ木刀によって枝が裂けて七枝になったとの伝説がある。(看板より)
岡山県真庭市東茅部に「黒岩の山桜」として、県指定天然記念物に指定されているヤマザクラがある。

推定樹齢:700年
根廻り:9.3m
目通り:7.3m
樹高:16m
 老木の前には、二代目であろうか、ヤマザクラの若木が生育している。その陰に隠れるように、指定されているヤマザクラの古木が生育している。

 所有者の墓地の一郭であり、周囲には数本のヤブツバキの古木もあって、こちらもなかなかのものである。

 画像では、左側が指定されているヤマザクラ。
 指定されているヤマザクラの葉は深紅紫色で美しい。花数は老木のためか少ない。
 この個体の花は、通常のヤマザクラにくらべ、開きが少ないように思われる。花の直径もやや小さいようである。

 老木であるためなのかもしれないが、近隣に完全に開かないヤマザクラが生育することから、そのような系統なのではないかとも思う。
 株元の様子

 上部から根が降りており、複雑な幹となっている。
上部の枝から根が降りている様子がよくわかる。
北側は、コケが生育しており、おそらくその内部は腐朽しているのであろう。
 ヤマザクラは寿命の長い樹木であり、各地に老木・巨木が残っている。真庭市の蒜山、東茅部のヤマザクラもその例である。このヤマザクラの特徴は、主幹の損傷が激しいものの、上部から根を伸ばし、これが地面に達しており、太くなって全体として幹を形成している点である。長い年月を経過してこのような樹形になったものと思われるが、樹木の生きることへの執念を感じることができる姿である。

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