ポット苗による緑化 −岡山県立大学−



 岡山県立大学は平成5年に開学した。総社市の水田地帯に造成されており、周囲にポット苗による緑地帯が造成されている。樹林帯は凸形のマウンドに造成されており、土壌は元々の水田土壌を利用したものと思われる。
 土壌が良好であり、地形も緩やかな凸形であるので植栽木の成長は良好である。8年間で樹高7mを越える状態であるが、間引きはほとんど発生しておらず、植栽当時とほとんど密度は変化していないものと思われる。したがって生育している樹木はひょろひょろと細く背が高い。植栽木はクスノキ・シイ・アラカシ・シラカシなどの常緑広葉樹である。成長はクスノキがもっとも良好であり、樹高も卓越している。
 調査してみると、生育している樹木のいくつかが揺らぐことに気が付いた。幹を持って揺らすと普通の樹木に比べ、良く揺れるのである。根が四方八方に張っていない個体が結構ある。凸形のマウンドの斜面方向に向かって馬をまたぐように根が伸びているようで、マウンドの長軸方向に揺れやすい。枯れてしまった個体を引き抜いてみると、主根はもちろん発達していないが、側根も本数が少ない。土壌の保水力が高い分、根を発達させる必要性が低かったのかもしれない。地上部は見事に発達しているが、今後とも地下部の発達がこのような状況が続くのであれば、台風などの強風によって大きな被害が発生する可能性がある。継続的な観察が必要である。
岡山県立大学の宮脇式緑化林林内の様子(間引きは発生していない)
【関連項目:ポット苗と実生苗の根系の違い


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