ケイトウ Celosia cristata (ヒユ科 ケイトウ属)



 ケイトウは熱帯アジア原産の栽培植物で、典型的なものは花序が帯化し、幅が広くなり、よくできたものでは花序がひだ状になる。このような花序をニワトリの鶏冠(とさか)に見立て、鶏頭と名前がついた。種子は光沢のあるレンズ状でたくさん稔り、落ちて自然によく芽生えるので荒れ地や河川などにも野化していることがある。自然に芽生えたものの中には花序が帯化せず、原種に近い花序の形になるものが多い。園芸品種として改良されたものには黄色や白色のものもある。葉や茎は赤色を帯びることが多い。
ケイトウ真上から見たケイトウの花序
原種に近いケイトウ帯化していないケイトウの花序
 植物の茎の先端には成長点があり、ここで細胞分裂を行って上方に成長する。この成長点が帯状になり、「成長線」になると茎の先端は幅が広くなる。ケイトウの場合は、花序を作る成長点が帯化し、本来は円錐状の花序になるべきところが帯状の花序になってしまっているわけである。ケイトウの花を詳細に見ると、成長点の分裂細胞が1つであったものが2つになり、さらに4→8→16と二次関数的に増加した結果、花序の頂端は収まりきれなくなって複雑なフリルになっている。
 このような成長点が成長線になる現象を「帯化」あるいは経化、石化といい、時折様々な植物で観察することができる。オノエヤナギの帯化したものは「石化柳」などの名称で花材として栽培・販売されている。エニシダも同様なものがある。ケイトウはそのような奇形が遺伝的に固定されたものである。

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