コシアブラ Chengiopanax sciadophylloides (ウコギ科 コシアブラ属) |
樹形はすっきりと伸び上がり、上空に向かって伸びていく。枝分かれは少なく、短枝を形成して枝を伸ばさず、枝先にまとまって大型の葉を付け、頂芽を伸ばす戦略である。このような戦略は、樹木の枯損などによって生じたギャップでの生育に有効である。 材は緻密で粘りがあり、経木*などに使われる。樹肌は滑らか。
新芽はタラノキと同じように和え物やテンプラなどに料理され、食卓に昇る。タラノキよりも香りが強く、どちらが好きか、意見が分かれる。小生はこちらの方が好み。山村の特産品として取り上げられることもあり、コシアブラ畑が整備されている。
注:経木(きょうぎ) 紙が未発達な時代、あるいは高価な時代には木を薄く削ってお経などの文章を書いた。このような紙の代用のほか、お肉や豆腐などの包装にも昭和30年代頃までは使われていた。今でも高級な和菓子などでは経木が使われている例もある。ビニールやポリエステルなどの石油化学製品による包装材料が無かった時代には、水を含むものの包装には、この経木が欠かせなかったわけである。石油製品からの環境ホルモンが問題となっているが、経木を見直す必要があるかもしれない。 木を薄く削ったものを編んだものを経木真田(きょうぎさなだ)といい、これをミシンで縫い、麦わら帽子も作った(麦わら帽子は、麦幹真田で作るのが本当で、こちらが高級品)。 幅が広くて薄い経木を作るためには年輪が顕著ではなく、粘り強い樹木が適している。コシアブラも経木に使われた樹種の1つである。現在では、土産物屋などで販売されている尾長鳥の彫刻にコシアブラが選ばれるという。 |