ミズメ Betula grossa (カバノキ科 カバノキ属
 ミズメは本州岩手県以南から四国、九州に生育する日本固有種である。本種の特徴は、なんといっても枝を折ったり、樹皮を削るとサルチル酸メチルの臭いがすることである。カバノキ属らしいが・・・と枝を採取するとその瞬間にミズメであることがわかる。サルチル酸メチルは筋肉消炎材(外用薬)などの主成分である。
 葉は楕円形で長さ3〜10cm。若い葉には長い伏毛が密生するが、早期に脱落して裏面の脈腋のみに残る。花は4月頃に開花し、枝から垂れ下がって長さ5〜7cmとなる。

 ミズメは2つの別名を持っている。1つはアズサである。梓(あずさ)という名前は特急列車の名前や地名などにも使われ、弓の材としても使われた。重くて強い材であり、建築や器具材として使われている。もう1つ和名はヨグソミネバリである。夜糞峰榛であり、アズサとはまた全く異なったイメージの名前である。樹皮に特有の臭いがあるとの意味であるという。臭いというより、サロメチールのよい香りであるのだが・・・・。
 画像を撮影したミズメは岡山理科大学の蒜山学舎の前庭に植えたものである。25年ほど前であろうか、大山で採取した幼樹の名前がわからず、植えてみた。大きくなって、枝を剪定したときに初めてミズメであることがわかった。葉にはさしたる特徴はない。樹皮の特徴が出るまでの幼い個体では、鼻が頼りである。
ミズメミズメの樹皮:横に長い皮目がある
ミズメの葉:側脈は8〜14対若い葉の表面拡大:葉脈の間に長い伏毛があるが、その後脱落して無毛裏面の拡大:葉脈上と脈腋に長毛がわずかに残る


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