ムシトリナデシコ Silene armeria (ナデシコ科 マンテマ属
  ムシトリナデシコはヨーロッパ原産の帰化植物。元々は江戸時代に観賞用に導入されたものと思われるが、現在では各地の荒れ地などに生育している。花が美しいので、除草の際にも残されることも多い。葉や茎は粉白色を帯びており、上部の節からは粘液が出て粘る。この粘液に虫が捕まることがあることからムシトリナデシコの名がついた。しかしながら食虫植物ではない。このような粘液は虫へのバリアーであると思われる。
 避けているターゲットの虫は何なのであろうか? 地表から這い登ってくるわけであるから、ヨトウムシなどの昼間は土中に潜んでおり、夜になると出てくる虫である可能性もあるが、アリさんである可能性が高い。チョウチョの来訪のために準備したせっかくの蜜がアリさんに食べられては困るという事なのであろうか。そのように見ると、花の萼筒は随分と長く、長い吸蜜管を持ったチョウチョ専用なのかもしれない。しかし、コンクリートの隙間などに生育するところを見ると、種子の散布はアリが貢献している可能性もある。
赤と白のムシトリナデシコ
ムシトリナデシコ Silene armeria
コンクリートの継ぎ目に生育するムシトリナデシコ
ムシトリナデシコの花雄しべが出始めた開花直後の花
雄しべが出ている雄性期の花雌しべが伸びた雌性期の花
白花のムシトリナデシコ白花のムシトリナデシコ
長い花筒粘液に捕獲された虫
ムシトリナデシコの葉ムシトリナデシコの葉
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