フタリシズカ Chloranthus serratus (センリョウ科 チャラン属
 フタリシズカは北海道から九州に分布する多年生の草本。葉は対生し、頂上部では節の間が狭いので、4枚の葉が輪生しているように見える。春、茎の頂端から1〜2(5)本の花序を出す。花序は2本のことが多いので、フタリシズカとの優雅な名前をいただいた。地下茎でも繁殖し、群落を形成する。
 少し季節はずれの6月のはじめ、県南の山で思わぬフタリシズカの大群落に出会った。急傾斜の谷であり、低木はあまり生育しておらず、イノデ類などのシダとフタリシズカが草本層を覆っていた。以前に伐採などに関連し、表層土が流れてしまったような形跡がある場所であった。このようなシダ類やフタリシズカなどの草本が密生している植生の成立は亜高木層や低木層の欠落が発達の条件であり、過去の表土攪乱以外に考えにくい。今は「二人静」なのであるが、昔は土砂崩壊地であって、とんでもない立地なのであったであろう。
フタリシズカの群落フタリシズカ Chloranthus serratus
フタリシズカ Chloranthus serratusフタリシズカの花序
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