アオキ Aucuba japonica (ミズキ科 アオキ属
 アオキは宮城県以西の本州、四国、九州、南西諸島に分布する常緑の低木。常緑樹林の林床や谷沿いなどの適潤地に生育する。枝は数年間緑色なので、アオキという。赤い大きな果実を秋から春まで、長期間付けるので庭木にも斑入りの品種などがよく植栽されている。日陰にも良く耐えて生育するが、乾燥は苦手のようで、半日陰の適潤地が適している。
 雌雄異株であるり、雄花は春に多数付き濃い小豆色である。花弁は4枚、雄しべも4本。雄花の画像はたくさんあるのに、雌花らしい画像がない。目立たないからである。今年の課題というところです。

 アオキはやけどや腫れ物、凍傷などに有効であるとされ、各地で民間薬として利用されてきた。また、胃腸薬である陀羅尼助などにも用いられている。アオキの葉は黒変する。標本にするときにも黒変するが、乾燥などによって葉焼けした時にも真っ黒になる。これはアウクビンという物質ができるためだそうで、これが薬効成分らしい。物質の名前はアオキ属のAucubaからきているわけであるが、この属名は青木葉(あおきば)のラテン語化ということらしい。

 ところで、アオキはニホンジカが大好きだそうだ。シカの健胃薬なのかもしれない。アオキがたくさん生育しているということは、その地域にニホンジカが居ない、あるいはシカが自由に活動できないほどの急峻な地形であることを示していることになる。そのような観点で見ると、アオキが優占している群落は石灰岩地などの急傾斜地であることが多いのも納得である。近年、ニホンジカが増加して問題となっている。アオキにとっては受難の時代なのかもしれない。(奈良にアオキがあったかな・・・・?)
石灰岩地の急傾斜地に生育するアオキ
雄花序アオキの雄花
新しい葉を出した雌株新葉の下に咲く雌花
アオキの果実斑入りの園芸品種
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