ナガバノモウセンゴケ Drosera anglica (モウセンゴケ科 モウセンゴケ属) |
高層湿原の植生が発達する尾瀬ヶ原の中核域にナガバノモウセンゴケは生育している。日本では尾瀬ヶ原とサロベツ原野に生育している。葉の長さは15〜35mmで、葉柄と合わせると長さ10cmに近くなる。モウセンゴケの葉がロゼット状に広がるのに比べ、直立する傾向がある。葉が長いので小型のトンボなど比較的大きな昆虫が捕獲されることがある。虫が捕まると、葉は巻き取るようにまがる。
世界的にはヨーロッパから北米の温帯域に分布しており、北極を中心に分布する周極分布の植物のひとつである。南ヨーロッパや日本の分布は氷河時代の遺存的なものであると考えられているが、ハワイにも分布しており面白い。渡り鳥の仕業であろうか。英語名はEnglish sundew, great sundew 。 ナガバノモウセンゴケはモウセンゴケとナガエノモウセンゴケの雑種起源であり、倍数化して繁殖できるようになったものとされている(Wikipedia)。ナガエノモウセンゴケは日本には産しないが、マニアによる植栽によって湿原に定着してしまい、駆除に手を焼いている。北半球のどこかで両種が交雑し、倍数化したものが点々と分布していることになる。雑種期限とはいっても随分と歴史がある。 |