オトギリソウ Hypericum erectum (オトギリソウ科 オトリギリソウ属)
 オトギリソウは日本全国、樺太南部・朝鮮にも分布する多年草。ススキ草原や林縁などの草地に生育する。茎は高さ50cmほどになり、断面は丸い。夏に直径2cmほどの黄色い花を付ける。花弁・顎には黒点と黒線がはいる。葉は対生して先端に至るほど幅が狭くなり、黒点がめだち、特に縁には多い。和名は、秘伝の薬草の名前を他人に漏らしてしまった弟を兄が切った時の返り血がこの黒点であるとの意味。止血・傷薬などに薬効があるとされ、民間薬として使われる。
 オトギリソウの仲間は、葉や花などに腺体があり、これがこの仲間の重要な区別点となっている。この腺体に色素が含まれている場合には黒点といい、これが連なると黒線、色素を含まない場合には透かすと明るく見えるので、明点という。乾燥標本では明点がわかりにくくなることがあるので、新鮮な状態の時に葉を透かして観察する必要がある。
オトギリソウ花弁・顎片には黒点と黒線がある
オトギリソウの葉は対生葉の裏面(多数の黒点がめだつ)葉を透かしてみたところ(明点はない)
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