マルバノキ(ベニマンサク) Disanthus cercidifolius (マンサク科 マルバノキ属
 とある料亭の庭、宮島が見える瀬戸内の海岸であるがブナやミズナラなどの落葉樹が植栽されており、植栽されているツワブキの花も満開であった。それなりに良い雰囲気であるが、植生学的には奇妙である。夕方であったので、丸い葉で紅葉が美しい低木が植栽されているなと思いつつ、気にしていなかった。薄暗かったので花が咲いているのを認識するのにやや時間がかかった。
 近寄ってみると、おやおやマルバノキだと気がついた。マルバノキは本州中部以西、四国に分布する。岡山県における自然分布は1箇所しか知られていない。花は10月から11月にかけて短枝の先端に背中合わせに2つ咲く。花弁は暗紅紫色で長さ6mmほど。美しい紅葉と同時の開花であるが、この状態で開花する植物は、他にあるのであろうか?他に競争相手のない時期に花を咲かせ、春になってから果実・種子を生長させるのであろう。受精できれば、それでも良いわけだ。
 マルバノキは、紅葉・開花時期に花材として切り取られたり、盗掘されるなどの被害が報告されており、保護の観点もあわせて岡山県では絶滅危惧種に指定している。種子発芽も良好なようで、庭木として栽培・販売されている。
マルバノキ(ベニマンサク) Disanthus cercidifoliusマルバノキ(ベニマンサク) Disanthus cercidifolius
マルバノキの花マルバノキの紅葉
円心形の葉は両面無毛葉の葉脈は紫色を帯びることもある
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