シキミ Illicium anisatum Linneaeus (シキミ科 シキミ属)
シキミは仏事に使われる常緑の小高木であり、お墓に「花の木」として供えられる。宮城県以西の本州、四国、九州、沖縄に生育し、中国・台湾にも分布する。各地で仏事用に栽培されているが、岡山では森林の中には意外に出てこない。小さな個体を時折目にすることはあるが、神事に使われるサカキに比べると、かなり少ないように思う。モミ林などが本拠地であるらしいが、シキミがシキミらしく生長している場所を見たいものである。
春に淡黄色の花を咲かせる。果実を見たことがなかったが、なかなか面白い形をしている。秋に割れて中から種子が出てくるが、有毒であるとの事で、これが「悪しき実」との呼び名になったとの意見もある。土葬の時代には、有毒植物を墓の周辺に植栽したとのことで、このことが仏様へ供えることと関連しているのであろう。掲載した写真も墓地に植えられたものである。葉は香りがあり、線香や抹香に使われる。