テンダイウヤク Lindera strychnifolia (クスノキ科 クロモジ属
 テンダイウヤクは中国原産の常緑低木。漢名は天台烏薬であり、江戸時代に導入された。根を健胃薬として利用する。高さ数mになり、細い枝を分けて株立ちとなる。葉は長さ5〜8cmで広い卵形。葉柄は1cm程度で短く、三行脈が目立つ。表面は強い光沢があり、裏面は粉白色で白毛が散生し、脈にも毛がある。雌雄異株で、3月から4月頃に葉腋に淡黄色の花を数個咲かせる。果実は直径1cmほどで、秋に黒く熟す。
 マツ枯れ後に再生したアベマキなどの生育する林の中でテンダイウヤクが生育しているのを見つけた。数百m離れている半田山植物園に植栽されていたものから野化したものと思われる。同じ林にはコジイも侵入していたが、これも同植物園からの種子供給である。植物園などに植栽された植物が、周辺地域に本来生育しない外来植物の野化を引き起こしていることは問題である。しかし、拠点となる森林が周辺地域への森林回復に貢献できる好例でもある。
テンダイウヤクテンダイウヤクの頂芽
葉の表面;強い光沢がある葉の裏面;粉白色で有毛

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