エニシダ Cytisus scoparius (マメ科 エニシダ属
 エニシダは江戸時代に中国を経由して渡来した地中海地方原産の落葉低木。高さ数mになり、枝はほうき状に分かれて先端は垂れ下がる。4月から5月にかけ、黄色い花を咲かせる。葉は3つの小葉からなるが、花の咲く枝では頂小葉のみになるので、単葉に見える。落葉低木といっても少し趣は異なる。春には新しい葉がでるものの、初夏には葉が少なくなり、種子が稔る9月頃には点々と葉が残る程度になってしまう。枝が葉緑素を持っているので、あまり葉を付けていなくても十分光合成できるのではないかと思う。原産地の地中海地方は、夏が少雨で乾燥する時期であるので、温暖で適度な降雨のある春には葉を付け、乾燥する夏には葉を少なくして耐えるライフサイクルになっているものと思われる。
 観賞用や花材として植栽されるほか、荒れ地への治山植栽にも利用される。瀬戸内海地域では、山火事跡の緑化のために種子をヘリコプターで空中散布したことがあった。開花時には山火事跡が一面に黄色になり、異様な景観であった。乾燥にも強いことから、早期緑化は成功するものの、エニシダが繁茂してその後の植生遷移が進まず、本来の森林植生への回復が遅れることなどから、最近はあまり使用されないようである。
エニシダ(4/29)エニシダの花
エニシダの花エニシダの果実(9/17):既に葉がほとんどないエニシダの新葉
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