ネムノキ Albizia julibrissin Durazz. (マメ科 ネムノキ属
 ネムノキは東北地方以南に生育する落葉の高木。梅雨の終わりから盛夏にかけて咲く花は繊細で美しい。長く伸びた糸状のものはおしべである。独特の花弁を持つマメの花とちがう印象があって、独立の科に分類する意見もある。花弁が発達せず、おしべが花を構成している点は、フサアカシアやオジギソウなどと似ている。
 ネムノキの果実はマメの鞘にはいっており、なるほどマメ科の植物である。中には小さな種子が入っており、種子を包むには必要以上の大きさである。鞘は冬になっても開かず、果実全体が風に吹き飛ばされる仕組みになっているのではないかと思う。
 ネムノキは二次林に生育する。斜面下部などのような、土壌のたまる場所に生育し、乾燥地には生育しない。根はゴボウ根であり、太い直根が地中深く伸びており、地表面近くには吸収根はほとんどない。砂礫がたまるような場所における生育に適しているものと思われる。
幻想的なネムノキの花
ネムノキ Albizia julibrissinネムノキ Albizia julibrissin
ネムノキの若い果実冬になっても裂開しない果実
 ネムノキの名前の由来は夕方になると葉が合わさって閉じてしまう様を眠ることに例えたもの。葉は2回羽状の複葉であり、たくさんの小葉が付いている。これが毎日夕方になると合わさって閉じてしまう。なぜ閉じてしまうのだろうか? オジギソウは葉に刺激を与えると小葉を閉じ、さらに葉全体を折り下げてしまう。葉を開閉する植物の典型である。オジギソウの葉開閉運動は、動物に捕食される際に葉を閉じて食べられる事を防ぐ効果があるという。ネムノキも葉を閉じてガなどの産卵を防いでいるのかもしれない。葉の裏面に特別な防御システムがあると、この仮説は証明されたことになるのだが・・・・・・
ネムノキの葉
葉の表葉の裏面
閉じ始めた葉閉じた葉
閉じた葉の拡大ネムノキの芽生えの葉
 ネムノキの根を掘ってみると、所々に白いこぶができている。これが根粒である。画像のものは直径1cmほどである。この中に根粒バクテリアが生育しており、空中の窒素を植物が利用できる物質に変換している。バクテリアはネムノキから栄養分を提供してもらい、増えた根粒バクテリアはネムノキに吸収される。ネムノキが根粒バクテリアを飼育している形となっているが、両者の共生である。
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