ヌスビトハギ Desmodium podocarpum ssp. oxyphyllum Ohashi  (マメ科 ヌスビトハギ属
 ヌスビトハギは北海道・本州・四国・九州・琉球・台湾・朝鮮・中国に分布する多年草。林縁や路傍、草地などに生育する。画像は8月中旬にヒノキ植林地の谷部で撮影。付近にはミゾソバ・マンリョウ・ミズヒキ・ヨウシュヤマゴボウなどが生えていた。日当たりのよい草地にも生育しているが、水分条件の良いやや湿った陰地を好む印象がある。
 草丈は50cm〜1mほど。葉は3小葉からなり、頂小葉は卵形から長卵形で長さ4〜8cm、側小葉は頂小葉に比べやや小さい。葉裏は淡緑色で、網状脈が目立つ。花は長さ3〜4mmほどの小さな淡紅色の花を細長い総状花序につける。ヌスビトハギ(盗人萩)の名前には似つかわしくない可愛らしい花である。早いものであると7月に花を咲かせるようであるが、8月から9月にかけてが見ごろとのこと。初秋の訪れを密かに告げてくれる植物である。
 ヌスビトハギ(盗人萩)の名前の由来には諸説あるようだが、その一説として実(節果)の連なりがつま先歩きをした盗人の足跡に似ているために「盗人萩」となったという説がある。残念ながら実の画像はないのですが・・・。
 岡山県に生育する同属のヤブハギ・ケヤブハギ・マルバヌスビトハギとの区別点としては、葉が茎全体に散生している点、小葉に毛がある点、葉裏の網状脈が目立つ点などで見分けることができるであろう。
ヌスビトハギヌスビトハギ
ヌスビトハギヌスビトハギ

文章・画像:奥田 圭
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