マツバニンジン Linum stelleroides Planch. (アマ科 アマ属)



−速報!マツバニンジンの生育確認−
 マツバニンジンは,日当たりの良い草地に生える1年草で,北海道〜九州,東アジアに分布する。アマ科アマ属植物の自生品は,日本では本種のみである。帰化植物としては,北米原産のキバナノマツバニンジン(L. virginianum L.)があり,岡山県下にも見られる。他,アマ(L. usitatissimum)という栽培植物がある。このアマは,茎は繊維はリンネル製品(?)として,種子から取り出した亜麻仁油は,染料・ニス等に使われるという。古代エジプト時代からの重要な作本とのことである。他,花が大きく色が派手な園芸品もいくつかあるようである。
 つい先日,奈義町・勝田町境の低丘陵を訪れた際に,見慣れない草が目に留まりました。以前,美作方面でキバナノマツバニンジンを見かけたことがあったので,それに類似の帰化か栽品の逸出と思いましたが,かわいらしいので一応写真だけは撮影しました。現地には昼過ぎに到着し,3時頃にその場所を立ち去る頃には,もう花はしぼんでいました(キバナノマツバニンジンもそうのようであるらしい)。

マツバニンジンマツバニンジンの花
なんだかムラサキカタバミとかハナカタバミの類の花に似ているな〜と思える
花弁の色は,図鑑には淡紫色と記載されているが,この個体は薄いピンク色であった。茎・葉などはやや粉っぽい淡緑色。

マツバニンジンマツバニンジン
茎下方では,小さい狭長楕円形の葉を密に互生し,茎上部でホウキ状に枝を分け,花をつけている。

 生育地一帯は,低丘陵の緩やかな山頂付近で,背丈の低いアカマツ林が発達している。所々に地滑りのような跡があって,裸地となっている所もあり,草原と同様に木陰に乏しい場所であった。
 さて,ビックラこいだのは,帰社してからである。
 帰化植物図鑑を見ると,やはりキバナノマツバニンジンによく似ているが,その前後のページにピンク色の花の類似種は載っていない?。栽培種のアマでも無いような気がする。栽培品はどれも花が大きい。じゃあ,自生品のマツバニンジンみたいだ!
 大久保先生の岡山県の自生植物目録を確認してみると・・・「筆者は大正15年秋,北房町で採取して・・・,故吉野善介氏も高梁市付近で採られているので自生していたのは事実である。・・・」
 ・・・・・・。えっ?・・・・・。どうやらマツバニンジンだろう!だけでは済まされないモノのようである。
 標本とりに行かなきゃ・・・ 

 8/27に再訪:画像の一部更新、標本の確保・・・・マツバニンジンでした!

代表的なアマ科植物の区別点
和名 花弁萼片
マツバニンジン自生 淡紫色
(淡紅紫色)
黒い腺点が混じる3脈が顕著
キバナノマツバニンジン帰化黄色白色の腺点が並ぶ 
アマ栽培淡紫色腺点を欠く 

 By Y. Nanba (2001/08/27)


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