ホソバヒメミソハギ Ammannia coccinea (ミソハギ科 ヒメミソハギ属)
ホソバヒメミソハギはアメリカ大陸原産の1年生帰化植物。当初、沖縄や九州などの温暖な地に帰化していたが、次第に広がりつつある。岡山県では沿岸部低地の水田に生育している。茎の断面は四角形であり、細長い葉を対生させる。葉は長さ5cmほどで、茎への付着点で耳状にふくれる。花は10月ころから葉腋にかたまって付き、小さな紫色の花を咲かせる。
岡山平野では、水田地帯の中に点々と管理休耕田が目立つ。管理休耕田は通常の水田と同様に春に耕されるが、田植えは行われない。いつでも復田できるような状態で、維持されているわけである。このような管理休耕田では様々な水田雑草が生育しており、管理のあり方によって植生が異なっていておもしろい。
水田が耕作されている間は、ホソバヒメミソハギは畦脇に点々と生育している程度であるが、場所によっては一面を覆ってしまうほど繁茂している休耕田がある。除草剤の散布の時期や種類、前年の植生などが影響しているのであろう。帰化植物が休耕田の全面を覆っている景観は、不気味である。