コブシ Magnolia kobus (モクレン科 モクレン属)



 コブシは北海道から九州に分布する落葉高木。山に春を呼ぶ植物として歌にも歌われる。岡山県では北部の海抜の比較的高い地域に分布している。冬芽は毛に覆われた厚い鱗片に包まれており、花芽の冬芽は大きく膨らんでいる。3月から5月にかけ、白い花を咲かせる。低地では花がまず咲くが、海抜の高い場所では花と葉が同時に出るようである。花弁は6枚で中心に近い部分は赤味を帯びる。顎片は3枚で花弁とよく似ているが小さい。雄しべは多数あって雌しべ(群)の根元に位置している。果実は実に奇妙な形であり、こぶこぶになる。秋になると割れて中からあざやかな種子がでてくる。これが鳥によって散布されるのであろう。花の時期にあまり調査に出ないためか、岡山県ではあまり開花した状態にお目にかかっていない。1枚目の画像以外は公園や街路樹として植栽されているものである。
 県南部では同じ属のタムシバが同じような白い花を咲かせるので、よく間違えられる。コブシはやや海抜の高い適湿から谷沿いの斜面に生育し、タムシバは温暖な地域の尾根などに生育する。
コブシコブシのつぼみ
コブシコブシの花
コブシの花の中心部(中央の雌しべと多数の雄しべ)若いコブシの果実8月の果実
9月の果実(赤く色づいている)10月の熟れた果実

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