ジャコウアオイ Malva moschata L (アオイ科 ゼニアオイ属)
 8月の礼文島、バスを降りて歩き始めると民家の庭先にコスモスが咲いているのかと思った。近寄ってみると花弁の質感はよく似ているものの、アオイ科の植物であることがわかった。栽培品であろうと思い、気にすることなく歩き始めると道路際に野生状態になったものがたくさん生育していた。林道にも侵出しており、栽培植物が野化している状態であった。花弁の色は白色から桃色、花の直径は5cmほど。根出葉は浅く切れ込んで、全体としては丸く、この仲間の葉の特徴をよく示しているが、上部の葉は細く、かなりイメージが異なっていておもしろい。
 ヨーロッパ中南部原産の多年草であり、ジャコウアオイの和名はわずかに麝香臭があるからとのこと。庭先で半栽培状のものが多かったこともあり、麝香臭は確認していない。英名はmusk mallow であり、まさにジャコウアオイがその訳である。
 生育地は砂礫土壌の荒れ地であり、民家の庭先や軒下などが多かった。いわゆる高山植物の生育するお花畑などへの侵入は見られなかったが、林道の真ん中にも生育しており、注意する必要がある植物の1つと思われた。
ジャコウアオイ Malva moschata の群落
舗装の隙間に生育するジャコウアオイ
桃色の花薄い桃色のジャコウアオイ
白色のジャコウアオイジャコウアオイの顎片
ジャコウアオイの葉ジャコウアオイの葉
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