インドボダイジュ Ficus religiosa (クワ科 イチジク属) |
ベトナム・ハノイの「文廟」、1076年に作られたというベトナムで最初につくられた大学の跡地が保存され、観光地となっている。ムードとしては岡山県備前市の閑谷学校(1670年)に似ているが、文廟のほうがはるかに長い歴史を持っている。その入り口の両端に見事というか、ものすごいというか、おどろおどろしい大木がそびえている。左右対称に植栽するのが慣わしであるとのこと。 樹高が高く、上空で翻る葉を拡大して見ると、ポプラに似た心形の葉であった。しかし、気根を出していることからクワ科であって、ポプラであるはずはない。若い個体を見ると、樹皮の様子はなるほどFicusの仲間。葉柄は長く、垂れ下がり気味。葉の先端は細長く伸びる。 調べて見るとインドボダイジュ(印度菩提樹)、お釈迦様がこの木の下で悟りを開いたという本物の菩提樹であった。このインドボダイジュの樹齢は文廟の開設当時のものかはわからないが、相当なものであることには違いない。気根の発生は顕著ではないが、時として絞め殺しの木にもなるとのこと。 インドボダイジュが生育できない地域ではこれによく似た葉の形の樹木を菩提樹として扱い、日本ではシナノキ属の植物を菩提樹としている。 |
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