コウトウヤマヒハツ Antidesma pentandrum (コミカンソウ科 ヤマヒハツ属
コウトウヤマヒハツ Antidesma pentandrum

 コウトウヤマヒハツは「紅頭山篳撥」だそうで、台湾の島の名称+ヒハツ(インド長コショウ)の意味だそうだ。確かに果実が稔った様子はコショウを連想させる。すぐに名前が付かない場合には特徴をフォルダー名にして仮に整理しておくが、本種は「コショウ似の赤い実」が仮の名前であった。

 隆起サンゴ礁などの石灰岩地域に生育する常緑低木で、密に葉を付けるので、日当たりの良い場所に生育する場合には向こうが透けて見えないことがある。最初は岩に着生する匍匐植物ではないか、と思ったほど。葉はやや硬く、葉脈が凹んで全体的にはやや反り返る。葉の縁は裏に向かって折れ曲がり、葉の縁を補強している。

コウトウヤマヒハツ Antidesma pentandrum葉の表裏からみた葉葉の裏面拡大

 花は春から初夏にかけて咲き、雌雄異株。果実は初夏には緑色で美しく、やがて赤色から黒く熟す。熱帯の植物らしく、緑のものと赤・黒が混ざり、真冬でも赤い果実が残っている。果実酒に使われるとの事。コウトウヤマヒハツは琉球諸島、台湾のほか、フィリピンに分布する。
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