ヒナノカンザシ Salomonia oblongifolia DC.  ( ヒメハギ科 ヒナノカンザシ属
 ヒナノカンザシは、日当たりの良い湿地に稀に生える小さな一年草。湿地の泥の中から細い茎を立ち上げ、夏の終わりごろに目立たない花をつける。本州から九州、東南アジアなどに分布する。
 茎は直立するように伸びて高さ5-15cm、勢いが良いと根元近くで数本に分かれる。葉は互生し、長さ0.4-0.8cm程度と小さく、ごく短い葉柄がある。花は茎の上部にまばらにつき、紫色を帯びる。
 植物体は小さく、そして細い。しかも湿地であるため足場が悪く、オートフォーカスのカメラで撮影するのに難儀した植物の一つである。岡山県南部では、イトイヌノハナヒゲやマネキシンジュガヤなどの生える小さな湿原に時々生えていることがある。地表が泥質で、常に湿っているような場所を好むようである。湿地の中では、草がまばらで丈が低い、遷移の初期段階に登場する植物なのかもしれない。
ヒナノカンザシヒナノカンザシ

文章・画像:太田 謙
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