タンナトリカブト Aconitum napiforme (キンポウゲ科 トリカブト属) |
広島県の県北、蛇紋岩を基盤とする猫山の山頂草原で背丈の低いトリカブトが咲いていた。本州の近畿地方西部以西、九州、済州島に分布するタンナトリカブトであるとの説明を受けた。 タンナトリカブトという名前を知らなかったわけではなく、学生時代はブナ林などの調査ではトリカブトに出会うとほとんど迷うことなく「タンナトリカブト」と記載していた。中国地方では最も多いトリカブトであるからでもあった。谷筋や林縁などに比較的よく目立った花を咲かせるので、お馴染みというわけである。しかし、最近は出会うことが少なくなった。林内にも生育することがあるが、森林が発達して林内が暗くなると生育は困難であり、少なくとも花を咲かせるまでにはなり難いものと思う。この仲間は猛毒であるものが多く、大型草食獣によって周辺の植物が食べ荒らされないと生きていき難いのであろう。 ところで、タンナトリカブトであると簡単に言い切れないのは、よく似た仲間がたくさんあるので、区別点を諳んじておらず、断言し難いからである。地名を冠したトリカブトも多い。 |
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