チングルマ Geum pentapetalum (バラ科 ダイコンソウ属
 チングルマは本州中部以北・北海道に分布し、千島・カムチャッカ・アリューシャンなどにも分布する。草本のように見えるが、地面を這う落葉低木。7月から8月にかけ、直径2cmほどの白い花を咲かせるが、黄色い雄しべが多数あるので遠目には薄い黄色に見える。開花している状況を見れば、湿原の中から乾燥しやすい砂礫地に生育しているように見え、多様な立地に生育できるように思える。しかし、数週間前の状況を知ることができると、現状への理解は一変するはずである。チングルマは代表的な雪田植物の一つである。高山帯や亜高山帯の地形的に緩やかな凹地では雪がたまりやすく、遅くまで雪が溶けずに残る。雪が消えるとその直後から植物たちは生長を開始し、花を咲かせるのである。チングルマは落葉性なので、雪が消えてからある程度の生育期間が必要であろう。より雪が遅くまで残る場所ではアオノツガザクラなどの常緑の方が、有利であるに違いない。
白山のチングルマ
雪田横の砂礫地で咲くチングルマ(2002/07/28 木曽御嶽)チングルマの花
チングルマチングルマの群落(北海道 大雪山)
チングルマ花の拡大
花が散った直後状態若い果実
チングルマの葉(表)チングルマの葉(裏)
種名一覧科名一覧雑学事典目次Top生物地球システム学科