クロバナロウゲ Comarum palustre (バラ科 クロバナロウゲ属) |
湿原にシックな花を咲かせる、葉の形からはキジムシロの仲間と思える植物が生育していた。しかし、花の様子はずいぶんと異なっている。クロバナロウゲであった。黒紫褐色の花弁に見えるものは顎であり、本来の花弁はその内側にある小さくて色が濃いものだが、たくさんある雄蕊に隠れて見えにくい。
クロバナロウゲは本州以北の湿原に生育する多年草。クロキスト体系ではキジムシロ属とされていたが、APG植物分類体系ではクロバナロウゲ属とされた。典型的な高層湿原植生の発達する場所には生育せず、周辺の沼沢傾向のある場所に生育する。Wikipedia英語版によれば、湖岸・河川のワンド・小川のほとり・浮島の縁などに生育するとの記述がある。尾瀬ヶ原の生育地も同様であり、湿原としてはやや富栄養な、水位の高い立地に生育していた。 世界では北半球に広く周極分布するそうで、北アメリカ・ヨーロッパ・アジアに分布する。purple marshlocks, swamp cinquefoil and marsh cinquefoil などの英語名がある。「ぬまきじむしろ」といった訳になろうか。 |