がいせん桜並木
 岡山県真庭郡新庄村に凱旋桜とよばれるソメイヨシノの並木がある。ソメイヨシノの寿命はあまり長くないが、100年を超える桜並木に惹かれて花見に行ってきた。

【由来:看板から引用】
 明治38年(1905年)12月の村会(村議会)で、戦勝の永き記憶、地方風致を保ち、衛生上も利するとして、桜の植樹が決議された。御幸橋より町尻まで、200間(360m)の長さ、3間(5.4m)間隔に、137本の桜が植えられ、がいせん桜とよんで、みんなで守ってきているのです。
 がいせん桜並木は、春らんまんと花が咲き、夏の緑に秋の紅葉、冬は雪の花 となり、四季折々に風情を変えて、旧出雲街道新庄宿の町並みを、美しく引き立てているのです。
凱旋桜並木
 4月の中ごろから後半にかけての満開になる。岡山県としては最も遅い時期の花見であろう。

 宿場町の面影を残した町並みの両側には、ソメイヨシノの桜並木が続いている。 屋台も出て、日曜日には大変な人出である。
凱旋桜並木100歳を超えるソメイヨシノではあるが、樹木としてはあまり大きくはない。道路は株元まで舗装されており、樹木の生育環境としては良好な状態ではない。道路と家並の間には、清水の流れる用水路があり、これがソメイヨシノの生育を支えてきたのではないかと思われた。
枝先までマリ状に花が付いている花

 樹勢は旺盛とは言えず、長枝はまったく見当たらず、枝先まで花はまり状になって咲いている。老木・古木ならではの咲き方で、美しい。
樹皮には地衣類が密生している腐朽した幹には布が巻かれている

 幹には地衣類がびっしりと付いており、ほとんど肥大成長を行っていないことがわかる。幹が腐朽しているものには、布が巻かれていた。最初は、何のためであろうか? と不思議に思ったが、幹の再生施作であるとわかった。布の下には、ピートモスなどが詰められているのではないかと思われる。
布を剥がした状態拡大:細根により覆われている

 布が取られたものでは、全体を小さな根が覆っていた。布の下で湿度が保たれ、発根して樹皮を覆ったのである。腐った幹は自身の根で覆われたことにはなるが、桜の樹皮とは似て非なるものであることは致し方ない。将来、地上にまで到達した根が太って、幹の代わりとなることを狙っているものと思われる。
 将来、どのような姿になるのか、興味がもたれるが、道路が舗装されており、新たな根を張るスペースはほとんどない。根元の周辺の舗装を剥いで植栽枠としたり、透水性の舗装に変えるなどの対策が必要なのではないかと思う。

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