ヒノキバヤドリギ Korthalsella japonica (ビャクダン科 ヒノキバヤドリギ属
 広島の宮島でヒノキバヤドリギを見つけた。学生時代に観察していた海岸沿いの道であり、昔の個体がそのまま残っているわけは無いのだが、やけに懐かしい。着生している木はソヨゴであった。

 ヒノキバヤドリギは常緑樹に寄生する常緑性の植物。葉は退化して扁平な茎が光合成を担っている。ヤドリギの仲間は寄主から水分を吸収しているので、水分消費量的には潤沢とはいえない環境であり、多肉植物的な厚い葉となっていることが多いが、ヒノキバヤドリギは葉を退化させ、茎だけとなって強度な乾燥への耐久形態となっている。

 常緑樹に寄生する常緑ヤドリギであるので、生育期間は完全にバッティングする。ソヨゴが元気なうちは葉がたくさんあって、ヒノキバヤドリギは十分に光合成できない可能性があるが、ヒノキバヤドリギが生長するとソヨゴは十分に成長できない状態となって、やがて枝を枯らしてしまう。共存ができない関係である。因みに、寄生する相手は多様だそうで、ツバキやヤブニッケイ、ハイノキ、アオキなどにも着生するとのこと。
 

 
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