チドリノキ Acer carpinifolium ムクロジ科 カエデ属
チドリノキの新葉の展開チドリノキの葉
チドリノキチドリノキの果実
 チドリノキはカエデ属らしくないカエデである。葉が掌状になっておらず、普通の葉なので種子が付いていないとカエデ属であることがわかりにくい。本州、四国、九州に分布し、斜面の下部から沢筋などの水分条件のよい場所に生育する。岡山県では石灰岩地に多く生育している。石灰岩は風化すると粘度を含む保湿力の高い土壌が形成されやすく、斜面下部や谷筋ではチドリノキのような好湿性の植物が生育していることが多い。

チドリノキの新葉冬でも葉を落とさないチドリノキ(3月)
チドリノキの葉

葉はカエデ属の特徴である、対生となっているが、葉は主脈と側脈が明瞭な「普通の葉」である。裏面の主脈沿いには毛が密生している。

枝先に垂れ下がる雄花序開いた直後の雄花(萼+花弁)
雄株の開花伸びきった雄花序
若い果実をつけたチドリノキ(5月始め)たくさんの果実をつけたチドリノキ
チドリノキの果実樹皮は灰褐色

 チドリノキの雌花は5月の始めには萼を残したまま翼が伸び始め、5月の終わり頃にはすでにカエデの果実らしい形となる。雌花序は枝の先端からいくつか出て、更に分かれるので、果実は群れて付くことになる。チドリノキは、果実の様子を千鳥が群れ飛ぶ様子に例えたからであるというが、チドリの飛ぶ姿を見たことがないので、納得するまでには至らない。しかし、果実が集まって付く姿は見事である。
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