クスノハカエデ
Acer oblongum
var.
itoanum
(
ムクロジ科
カエデ属
)
沖縄、名瀬市の石灰岩地の公園で三脈が顕著な葉を持つ樹木が生育していた。三脈といえば、
クスノキ科
の専売特許と言っても過言ではない形質であって、クスノキ科と言いたいところだが対生なので、却下!である。三行脈であるから
クスノキ
であり、対生のカエデの形質なので、クスノハカエデであった。
カエデと言えば、ブナ林域でのオオイタヤメイゲツやハウチワカエデなどの中心から放射状に葉脈が美しく広がったカエデ形の葉をイメージしたくなる。ブナ林域やそれに続く夏緑二次林などに単葉のカエデがないわけではなく、チドリノキを筆頭に、ウリカエデも単葉になりたがっているように思えるし、トウカエデも三行脈に魅力を感じているようにも思える。沖縄の植物は細長い単葉になることによって台風などの強風あるいは豪雨に対応しているのではないか、と感じているのだが、カエデよお前もか!がクスノハカエデの印象であった。
クスノハカエデの葉はトウカエデのように単葉から3つに分かれるタイプの葉までがある。しかし、クスノハカエデは常緑である。世界には常緑のカエデはどれくらいあるのであろうか、という疑問がわいてくる。いくつか常緑のカエデはあるらしいが、夏緑に比べて多くはないようであり、基本的にカエデは紅葉のイメージはあるようだ。
種の学名で検索してみると、英語名はHimalayan maple, evergreen maple, Kashmir maple ということでヒマラヤカエデ、常緑カエデ、カシミールカエデということになる。常緑から半落葉との記述もあり、冬も緑ではあるものの、春に葉を交代させるらしく、この点でもクスノキである。
基本種の分布はチベット、北部パキスタン、北部インド、北部インドネシア、南部中国などに分布しているとされ、結構寒いところから暑いところまで分布が広い。以前は
カエデ科
とされていた。
沖縄の植物