ウリハダカエデ Acer rufinerve (ムクロジ科 カエデ属) |
ウリハダカエデは本州から九州に分布する落葉高木。丘陵地帯から山地の明るい夏緑樹林に生育する。斜面下部や谷筋などに多い。若い樹木の樹皮は緑色であり、縦に濃緑色の筋が入る。和名はこの樹皮をマクワウリに例えたもの。成木ではコルク質が発達し、白褐色〜褐色となるが、樹皮の割れ目の形は若木のときのイメージが残っている。
葉はカエデの仲間では大きく、長さ10〜15cmで質はやや厚い。3脈が目立ち、基本は3裂であるが、若木ではわずかに5裂する。紅葉は黄色から赤褐色となる。若葉では褐色のちじれ毛があるが、その後ほとんど脱落し、裏面脈上と脈腋にわずかに残る程度となる。枝は無毛で、若枝の先端は白粉を帯びて粉白色を帯びることが多い。 ウリハダカエデは黄色からやや朱色を帯びただいだい色、日当たりの良い場所では鮮紅色に紅葉して美しい。広島の宮島では、ほとんどの樹木が常緑樹である中で美しい紅葉を見せてくれる。宮島にはニホンジカが生息しており、食料となる植物は食べられてしまう結果大変少ない。そのような環境の中でウリハダカエデが点々と生育している状況から見ると、ウリハダカエデはシカに食べられにくいのであろう。
ウリハダカエデの名前は、樹皮がウリに似ていることによる。若木の樹皮は薄い緑色の地に濃い緑色の縦筋がめだつ。太くなるにつれて地の緑色は淡褐色に変わり、やがてコルク質が発達して淡灰褐色となってウリとは全く異なった質感になる。ウリの樹皮だけを憶えてしまうと大きなウリカエデの同定ができなくなってしまう。大きな木の樹皮は、縦の割れ目に直交する縮緬状の小さな割れ目が特徴である。 |