シナノキ  Tilia japonica (シナノキ科 シナノキ属
 シナノキは北海道・本州・九州に分布する落葉高木。樹高10m前後のものが多いように思うが、大きく成長して高木になり、20mを越すものもある。葉はゆがんだ心形で、左右不同。先端は長く伸びて尖る。表面は無毛、裏面は脈腋に軟らかい毛が密集しているが、その他は無毛。縁には鋭い鋸歯がある。花は6月から7月にかけて咲き、黄色。花序は特徴ある形であり、柄にヘラ状の葉が付いている。これは花序全体に付いている苞葉であるので、総苞と呼ばれるものであり、中部以下は花序の柄に合着している。果実は稔っても柄から離れず、花序ごと落ちる。総苞は花時には3〜6cmであるが、果実が稔る頃には長さ10cmほどになり、果実の散布に役立っている。樹皮は強靱で、繊維を取ってロープや布をつくるのに使われた。
シナノキシナノキの花序
シナノキの葉裏面の拡大:葉脈の分岐点に毛が密生
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