イラクサ Urtica thunbergiana (イラクサ科 イラクサ属) |
イラクサは本州・四国・九州に分布する多年草。夏緑広葉樹林の谷筋など、半日陰の適潤地に生育する。茎や葉の表面・葉柄などに触ると鋭い痛みがある刺毛を持つ。葉は卵形で長さ5〜15cm。縁には大きな鋸歯があり、部分的に鋸歯が重なった重鋸歯になることが多い。葉の表面には短い毛と共に刺毛が散在しており、裏面は脈上・脈腋に毛が散生する。葉柄は長く、刺毛がある。葉柄の付け根には、2つの托葉が合着した楕円形の托葉がある。花は淡緑色で9月から10月に咲き、穂状の花序を形成する。 イラクサの刺毛は維管束までも入り込んでいる複雑な物で、厳密には単一の細胞からできている「毛」ではなく「毛様体」である。先端部分は針になっており、基部には液体をが入っている嚢がある。この液体にはヒスタミンとアセチルコリンを含んでいるそうで、棘に触って胞嚢がやぶれ、液体が皮膚につくと強い痛みを感じることになる。なんともすざましい防御である。 |
|