コタチツボスミレ

コタチツボスミレ　Viola grypoceras var. exilis　（スミレ科　スミレ属）

　コタチツボスミレは本州の近畿地方以西から九州に分布する小型の多年草。タチツボスミレの変種とされているが、分類学の上では研究者の間で、色々と見解の分かれる種でもある。タチツボスミレに比べて全体小型で、葉は三角形から腎形、基部は非常に浅い心形もしくは切形となる。茎はほとんど立ち上がらず、地面をはう様に生育する。花期は４月～５月。分布地域はタチツボスミレと同様であるが、本種はある程度のまとまりを持った山林の林縁から林内に生育する場合が多く、タチツボスミレに比べると森林性の性格がより強い印象を受ける。また、本種はマツ林等のやや乾いた林内で目にすることが多く、岡山県南部の山林では、尾根部から斜面部の林内にコタチツボスミレが、山麓の林縁部にタチツボスミレがそれぞれ生育するようである。