ホタルブクロ Campanula punctata (キキョウ科 ホタルブクロ属
 ホタルブクロ(蛍袋)とは、情緒あふれる名前である。故郷の広島では、少し渓谷にはいるとよく見たものであったが、岡山では姿を見る機会が随分と少なくなってしまった。沿岸域の乾燥した気候が分布を少なくしているのだと思う。しかし、庭などに植栽すると結構がんばってくれる。今回の画像は、鳥取県の浦富海岸のもので、海岸の切り通しの岩場に点々と生育が見られた。乾燥しがちな岩場であるが、さすが山陰の北向き斜面。水分の補給があるとともに、土壌がほとんどないので根生葉の競争が少ないのであろう。

 ホタルブクロは北海道から九州、朝鮮・中国に生育する多年草。匍匐枝でも繁殖する。1m近くも長く伸びる花茎からの種子散布も崖地では有効な散布手段であろう。全体的に毛が多く、根生葉には長い葉柄があり翼がある。最初に出る葉の翼は目立たず狭いが、茎葉の下部では相対的に幅が広くなる。上部の茎葉は柄がない。花は6月から7月、花冠の長さは4cm前後。白色が多いが、変化が多いとのこと。内部には長い剛毛があって、受粉を助けている。最初は葯が熟し、花粉を散布し終わってから雌しべの柱頭が開く。
ホタルブクロ (鳥取県 浦富海岸 2013/06/08)
ホタルブクロ Campanula punctataホタルブクロの花冠
花冠の中には紫の斑紋内側には剛毛
根出葉茎葉裏面脈上には長い毛
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