アフリカンデージー Osteospermum cvs (キク科 オステオスペルムム属) |
岡山県瀬戸内市、牛窓の海岸でピンク色の花を咲かせている植物を見つけた。花は見覚えがあり、公園や路側帯などに植栽されているキク科植物に違いないと見当が付いた。しかし、風が弱い瀬戸内海とは言え、砂浜の波打ち際から少し陸側の、時には冠水すると思われるような場所での生育である。周辺にはツルナやハマヒルガオが生育している立地であり、普通は塩生植物でなければ困難な環境条件のはずである。あの栽培植物が海岸に?! アフリカンデージーは、アフリカ南部に自生し、およそ70種があって、一年草・多年草・低木があるとのこと。容易に交配するので、たくさんの園芸品種が作出されているそうだ。弱い霜にしか耐えられず、温暖な海岸などでの栽培が適しているなどの記述が見えるので、温暖なやや乾燥した立地に生育するのであろう。乾燥に対する強い抵抗性に着目され、路側帯などの乾燥しやすい場所に植栽されていると考えられる。 アフリカンデージーの厚みがある葉をかじってみた。塩生植物ほどではないが、塩辛かった。塩分を含んで浸透圧を高め、海岸での生育を可能にしている。文献では、海岸に生育しているとの記述はないので、内陸の半砂漠などに生育しているのであろうと思われるが、このような立地はしばしば土壌中に塩類が集積するので、高塩分に対して適応性があるのでは、と考えた。日本のような降水量の多い地域では、濃い塩分濃度の立地は、海岸にしかない。しかし、砂漠では高塩分濃度の場所は結構普通なのではないかと思い至った。 元々自然海岸の少ない瀬戸内海地域であるが、このような帰化植物が繁茂してしまうと在来の海浜植物の生育には大きな影響がある可能性がある。美しい花を咲かせる帰化植物は除草されずに残される可能性が高く、こまったものである。 |
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