キダチハマグルマ Wedelia biflora (キク科 ハマグルマ属) |
屋久島の岩石海岸でゴロゴロした石の上を長い茎が這っていた。ほぼ直線的で、所々で枝分かれしながら、どうやら海岸の崖の上から伸びてきているらしかった。砂地のほかの植物と競合するような立地では、最初立ち上がってやがて寄りかかり、さらに地表を匍匐する状態へと変化していた。途中で根を張ることができるような立地であると前進基地とし、岩の上で根を張ることができないと、10m以上も茎を伸ばしている。 葉を触ってみると両面にやや硬い毛があり、どこかで触ったことのある感触であった。つまり、ネコノシタのようなザラ付いた感触である。同属のネコノシタも茎は長く地を這うとのことだが、通常観察できる状態では茎は砂に埋もれて見えない。キダチハマグルマは最初は立つのでわかりやすいが、岩石海岸でなければやはり砂に埋もれて茎をのばすのであろう。 海浜植生を構成する植物の分布は広い。キダチハマグルマは九州南部から中国、マレーシア、インド、オーストラリア、アフリカに分布するという。英語名はSea daisy、Beach daisy、Sea ox-eye。屋久島は北限に近いようで、亜低木には見えなかったが、より南の地域では木質化することがあるようだ。 |