サウスレア・ステラータ Sausurea stellata (キク科 トウヒレン属) |
チベット高原のやや湿った草地、何んだこれは!という植物に出会った。海抜は3500mほどの場所である。日当たりのよい場所に生育している個体は紅葉して美しい。花茎を発達させて花を高く持ち上げないので、葉が花弁のように変化して花の存在を誇示している。形の奇抜さに比べ、花をじっくりと見ると簡単に属は推定できた。トウヒレン属は北方系の草原や湿原に生育する種が多く、例えばキリガミネトウヒレンなどのように地域と関連した名称を持つものが結構多い。 さて、ネットで調べると、この特徴のある植物は比較的たくさんの情報があった。お茶などに加工されているものも見つかる。星状風毛菊あるいは星状雪兔子などの漢名が見える。学名もステラータは星ということなので、ホシガタトウヒレンということになる。この地域ではヤクが放牧されており、ヒツジも散見される。ヤクが徹底的に食べた後は芝生状になってしまうが、そのような場所でもこのようにへばりつけば食べられにくい、ということなのであろう。大型草食獣に食べられることからの形態的回避は、鋭い棘を持つか、このように徹底的に逃げの姿勢か、ということになるのであろう。もちろん、化学的防御である有毒や弱毒である手法は、最もポピュラーである。しかし、地面にへばり付く方法は、化学物質を生産する必要はないが、ヤクが居なくなってしまえば周辺の植物が生長し、すぐに生育できなくなってしまうことになる。 |
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