トウゲブキ Ligularia hodgsonii (キク科 メタカラコウ属) |
トウゲブキは本州東北地方以北、北海道、南千島、樺太などに分布する多年草。エゾタカラコウの別名があるように、一見してオタカラコウの仲間であることがわかるが、草丈は低く30cm〜80cmと小さい。葉も小さく、長さ10cm前後。 北海道の礼文島を登っていくと次第にトウゲブキが目立ち始める。名前の通り、峠にさしかかると個体数が増え、黄色いトウゲブキの花とツリガネニンジンの青紫色の花が美しいコントラストを見せてくれる。なぜ斜面の上部や峠に多いのであろうか? 同属のオタカラコウやメタカラコウ、ハンカイソウなどは沼沢地に生育する植物であるので、ちょっと奇異に感じる。 斜面の上部や峠は乾燥することも多いが、高山や礼文島などのような海洋に浮かぶ島では事情が異なる。海から吹き上げる気流は霧を発生させ、崖地の尾根付近や山と山の間の鞍部はちょうど霧の通り道となる。風が吹けば、結構水分の供給量は多いのであろう。強風の当たる立地では競合する植物の葉も高くはなれない。トウゲブキの葉でも十分光を得ることができる立地なのである。 |
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