ハマヒルガオ Calystegia soldanella (L.) Roem. et Schult. (ヒルガオ科 ヒルガオ属
 東京出張のために岡山駅でおみやげ物を買い、振り向いたとたんに懐かしい顔が目に入った。昭和57年卒業の清末幸久氏であった。出発までの僅かな時間、話すことができ、瀬戸内海では海岸の植物に関する画像の入手が難しいことを話した。早速送ってくれた画像が下の2枚である。なんともすばらしいハマヒルガオの画像である。

 ハマヒルガオは砂質海岸に生育する多年生草本であり、世界に広く分布する。砂質の海岸に茎を伸ばして匍匐する。葉は厚く、乾燥と塩に耐える能力を持っているのであろう。拡大画像を見ると、砂の中からつぼみが出ているのがわかる。砂の移動がかなり激しいことがわかる。砂の激しい移動は、植物にとっては大変なことであろうが、それに耐える能力があれば、種間の競争は少ない。
 この画像は、普段は観光客が入り込まない地域であるとのことで、普段訪れる砂だけの鳥取砂丘とは大きく趣が違う。観光スポットからはずれてゆっくりと砂丘を歩く機会を持ちたいものである。
鳥取砂丘のハマヒルガオ(清末幸久氏撮影)
鳥取砂丘のハマヒルガオ(清末幸久氏撮影)

ハマヒルガオはアメリカの東海岸の一部、西海岸からオーストラリアまで広く分布する。英語名はSeashore false bindweed、 Shore bindweed, Shore morning glory などで、予想される命名、ヒルガオといった命名センスはないらしい。

 地表面にツルを伸ばすハマヒルガオは土をあまり選ばない。根さえ十分に張ることができれば、石がたくさんある状況でも群落を拡大する能力は高い。結果的に、浜で出会う植物の中では、最もポピュラーなのではないかと思う。地面を覆う能力が高いので、安定した場所では一面を覆って開花期には美しい景観を見せてくれる。下の画像は千葉県銚子のハマヒルガオ。
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