オキナワスズメウリ Diplocyclos palmatus (ウリ科 オキナワスズメウリ属) |
クリスマスのリースで、懐かしい植物の果実が使われていた。リュウキュウオモチャウリとの別名を持つオキナワスズメウリである。最初に出会ったのは、奄美大島の放棄畑。冬であったので葉はなく、緑と赤色の果実がたくさん付いて大変印象的であった。トカラ列島の口之島以南に分布するということで、熱帯には広く分布し、奄美大島のものも自生であると思われる。ほぼ50年ぶりの再会であるので、種を保存しておいて栽培することにした。 たくさん撒いたらしいが、芽を出したのは2株のみ。かなり発芽は遅く、最初はなかなか勢いがつかなかった。熱帯の植物らしく、盛夏になって勢いがついたが、立派な巻きひげがついている割にはのぼるのが下手。全草が無毛であることもあって、巻きひげがまとわりにくいのである。その点はニガウリなどとは違い、巻きひげの空巻きが多い。毛のあるアサガオのツルは大好きなようで、キュウリネットよりもよく巻きつく。 葉は緑色濃く、丈夫でやや厚ぼったい。居間の前に生育させたのだが、部屋が暗くなってしまった。葉が丈夫なのでグリーンカーテンとしては良好なのだが、性能がよすぎるようだ。水分が不足しても葉を垂らすことは少なく、水分調節能力も高いのであろう。葉は5(7)に分かれる。冬に奄美大島で出会ったときには葉がなかった。一年生のツル植物と思っていたら、多年草とのこと。冬季、葉がどのようになっているのかに関する記述を見つけられなかった。場所によって違うかもしれない。 丁寧に巻きひげを取ってツルを収穫したが、残った部分は緑色濃く、そのまま軒下で緑のまま。常緑の多年草であるが、果実を稔らせた茎では葉の勢力が急激に衰退し、葉が黄変してしまう。根元から新たに延びた部分は緑のままで冬でも残っている。 当初、花はなかなかつかなかった。8月の中ごろから咲き始めたがなかなか果実ができない・・・人工授精でもしてみるか、と思っていたら、8月末からたくさんの花が咲き始め、果実も生長してきた。最初は、訪花昆虫が少ないので、果実ができにくいのかと思っていたら、時期あるいは肥料の問題であったようである。訪花昆虫は隣のニガウリに比べて大変少なく、というよりアリ以外は皆無。花弁は5つに分かれているのが基本であろうが、4つのものもあった。 果実は大きいもので直径2cmほど。模様があり、熟すと赤色になる。1箇所から多数の花が咲くので、いくつも果実がなって赤いものと緑色のものが混ざった状態がリースにはベストである。ところで、英語名はLollipop climber 。柄付きのぺろぺろキャンディーつる草が訳になる。赤く色づいた果実をつけたまま、ツルを一節ごと切り取ってコップにさせば、完全にぺろぺろキャンディである。とはいえ、有毒植物だとのことで、なめるのは禁止です。 |
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