ジムカデ Harrimanella stelleriana  (ツツジ科 ジムカデ属)



 ジムカデは本州中部と北海道の高山、千島、カムチャッカ、アラスカ、北アメリカに分布する、極小さい常緑の低木。高山の礫地や、雪田周辺のくぼ地に生育する。茎は細くて針金状、普段は匍匐性で地面を這うためカーペット状の群落を形成しているが、若い枝は斜めに立ち上がる。7〜8月、立ち上がった若枝の先に一つだけ白色で鐘形の花を下向きに咲かせる。果実が実ると上向きになるが、これはエゾノツガザクラやコバノミツバツツジなどでも一緒であり、種子を風により散布するタイプの植物でよく観察される。和名は地を這う姿をムカデに見たてたもの。ジムカデ属は北半球の寒帯や高山に2種のみ知られ、イワヒゲと並ぶ高山帯の代表選手である。大雪山では高山帯のほぼ全域で見ることが出来る。
ジムカデの花ジムカデの茎葉(まるで地を這うムカデ)
ジムカデの花(下向きに咲く)ジムカデの果実(果実が実ると上向きになる)

(画像・文章:森定 伸)

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